2 西ヨーロッパの国際観光の状況
1963年におけるヨーロッパのOECD加盟諸国への来訪外客の延ホテル宿泊数の対前年増加率は約5%で,1961年,1962年の増加率およそ10%をかなり下まわつた。もちろん,このような傾向はすべての国で一様ではなく,ユーゴスラビア(45%増),ポルトガル(36%増),ギリシア(25%増),ベルギー(10%増)は大幅に増加した。また,スペインでは宿泊統計はとつていないが入国外国人観光客の増加率が23%であることからやはり大幅に増加したと推定される。
オランダ,フランス,オーストリア,西ドイツ,トルコ,イギリスはほぼ平均的な増加率を示し,イタリー,ルクセンブルグ,ノルウェーでは停滞,スイスでは減少した。
1963年の全体の増加率が鈍つた理由は,ヨーロッパ国際観光往来の約8割を占める域内旅行者の伸び悩み(約3%増)のためである。
次に,ヨーロッパ諸国にとつてきわめて重要な観光客である米国人の来訪状況をみると,1963年には対前年比18%増の110万人がヨーロッパを訪れており,1961年の対前年比1%減,1962年の13%増にくらべ大幅な増加を示した。アメリカ人のヨーロッパにおける主要訪問国は,フランス(57万6,000人),イギリス(53万9,000人),イタリア(48万9,000人〉,西ドイツ(40万9,000人),スイス(37万1,000人)等であるが,1963年のこれら各国への来訪米国人の伸びはいづれも7%程度で,かわつてユーゴスラビヤ,ギリシャ,スペイン,トルコへの来訪数がいづれも対前年30%以上の高い伸びを示していることが注目される。
一方,ヨーロッパ諸国から国外に向かう者の数は,前にも述べたように域内諸国向けは対前年3%増と低率に止まつており,比較的活発であつたアメリカ向け旅行者も対前年13%増の38万4,000人で1962年の対前年18%増と比較すると伸び率はかなり減少している。1963年におけるヨーロッパ諸国の国外旅行者数については,現在判明している資料についてみると 〔IV−4表〕に掲げるとおり,ドイツ,イギリスが大きい比重を占めている。
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