3 アメリカの国際観光の現況
すでに 〔IV−3表〕でみたように,アメリカの観光支出は群を抜いて大きくその動向は日本を含めて世界各国の観光収入に大きな影響力をもつており,各国ともアメリカ人観光客の誘致が主要な観光政策の一つとなつている。また,アメリカの観光支出がこのように大きいことは,アメリカにとつて非常に大きな問題となつている。このため,ジョンソン大統領は,1965年2月の「国際収支教書」において,国際収支の一層の改善のために,1961年以来,ドル防衛策の一環としてとられている観光収支策が今後とも必要であると主張している。また海外旅行に関するドル流出を削減するため,アメリカ市民が海外から持ち帰るみやげ品の免税点を卸売価格の100ドルから小売価格の100ドルにすることになつた。
一方,カナダ,メキシコを除く海外諸国からアメリカを訪れた外客の総数は商務省観光局(USTS)の活動もあり,1962年には,17%増,1963年には22%増と大幅に増加した。しかし,アメリカ訪問客の8割,観光収入の4割を占めるカナダ人の訪米客数及びその消費額は,年々大幅に減少しており,かつアメリカ人の観光支出も依然として増大しているため,1963年のアメリカの観光収支はさらに赤字幅が拡大した。
1964年に入つてからのアメリカにおける国際観光往来は,ニューヨーク世界博等の各種行事の開催と,4月に行われた大西洋航空運賃値下げの影響でとくにその受入面において非常な活況を示している。すなわち1964年1月から9月までの間に,カナダを除く各国からの訪問客は前年同期の35%増とかつてない伸びを示している。
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