4 太平洋地域の国際観光の状況


  世界の6割の人口を有する太平洋,アジア地域の国際観光往来は,先に述べたヨーロッパ地域,北米地域に比べるといまだ微々たるものである。これは,政治問題と生活水準の低さから域内の往来が少ないことが最大の原因である。しかしながら,域内各国は,いづれも国際収支の悪化に悩み,観光によつて国際収支の改善をはかるため,観光客の誘致には非常な熱意を持つており,PATA(太平洋観光協会)を通じての共同宣伝活動,他地域に比べて遅れている入国手続きの簡素化,ホテルの建設等に力を入れている。
  PATAの統計によると,1963年にハワイを含めて太平洋地域を旅行した観光客は202万6,000人で前年に比べると16%増,消費額は4%増となつている。消費額が観光客の増加にもかかわらず伸びない理由としては,最大の収入源であるアメリカ人観光客の1人当りの消費額が,1962年の880ドルから1963年には787ドルと減少したためとされている。各国別の最近3年間の入国客数は 〔IV−5表〕のとおりである。

  この地域の観光開発は,他の地域に比較すると,二,三の国を除いてまだかなり遅れており,全般的に眺めれば観光客の受入態勢の整備に力を注いでいる段階である。なお,観光事業に力を入れ始めた韓国,台湾,フィリピン等の国では短期滞在客に対する査証免除措置及び税関の書面申告の廃止等を歩調を合わせたように行なつた点が注目に値する。


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