2 国際会議の誘致
国際会議,行事の開催は,開催国に多額の外貨収入をもたらすとともに強力な国際観光宣伝になり,かつ,一般的にオフ・シーズン対策にもきわめて大きな貢献をなしうるものであるが,これを誘致するためには一般的な国際観光宣伝のみでは不十分であり,国際会議,行事の主催団体,加盟会員等に対する具体的個別的な宣伝誘致活動とともに国内における会議場や関連サービス機関に関する調査及び主催関係者等に対する各種の情報提供,あつせん等を行なうことが必要である。このため,アメリカを始めとする欧米諸国においては,コンベンション・ビューローと呼ばれる専門機関が設けられ,積極的な活動が行なわれている。
わが国においては,従来,この種の機関がなかつたため,わが国での開催を希望し,又は誘致可能な国際会議でわが国における開催を見送つたものが多かつたばかりでなく,開催されることになつた場合にもその都度主催者が自らその準備に当たらなければならず,非常な労力を払わざるを得なかつた現状であり,かねてより,観光業界はもとより学界,産業界等においてコンベンション・ビューローの設置が強く望まれていた。観光事業審議会および観光政策審議会も,それぞれ昭和35年,昭和38年,その設置の必要性につき政府に建議を行なつている。
このような各方面の要望にかんがみ,運輸省は,昨春来,基礎的な研究と準備を進める一方,広く関係方面に呼びかけて設立気運の醸成を図つてきたが本年6月22日,国際観光振興会,日本国有鉄道,東京都,大阪府,京都市等の関係地方公共団体,財団法人日本交通公社,日本航空株式会社,社団法人日本ホテル協会等の観光関係機関等により日本コンベンション・ビューローが設立された。同ビューローでは,国際会議,行事及びその開催団体並びに国内の国際会議場及び関連施設,サービス機関に関する調査情報収集,国際会議,行事開催関係者に対する各種情報提供,案内及びあつ旋等の事業を行なうことにしており,その成果が期待されている。国としても今後このような事業活動に対し積極的な援助を行なう必要がある。
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