1 現状


  ホテルについては,国際観光ホテル整備法に基づき,一定の施設基準に適合するものについて,登録制がとられているが,昭和40年4月1日現在,134軒で,その客室数は,1万6,988室(そのうち基準にあう洋室数は1万5,190室)である。
  また,社団法人日本ホテル協会に加盟しているホテルは,40年4月1日現在163軒で,その客室数は1万9,551室である。
  登録ホテルに対しては,国際観光ホテル整備法により,法人税又は所得税についての固定資産の耐用年数の短縮措置及び固定資産税の軽減が行われている。またホテルの建設に対しては日本開発銀行の融資が行なわれており, 〔IV−27表〕にみられるように,26年度から39年度までに176件,222億円の資金が融資され,これによつて整備された客室数は1万5,260室に及んでいる。最近の融資額をみると,オリンピックを目途としてホテル整備意欲が盛んであつた38年度が約60億円であつたのに引き続いて,39年度は約48億円であつた。これらの融資条件は,利率年8分7厘,融資期間10〜15年となつているが,これは,日本開発銀行の電力,海運等の他産業に対する融資や諸外国のホテルに対する財政投融資に比べると,必ずしも有利な融資条件であるとはいえない。

  また最近,日本の物価高,特にホテルの宿泊料金の高いことが海外において評判となつており,外客誘致上の大きな障害となつている。今後,来訪外客数を増加させるには,中級所得層外客の誘致に力を入れる必要があることを考えると,ホテルの宿泊料金の安定化,低料金ホテルの建設の促進が強く要請されている現状にある。
  一方,登録ホテルの地域別分布を国際観光地別にみると 〔IV−28表〕のとおりであり,約5%近くが東京横浜に集中しており,湘南富士箱根伊豆,東海,大阪神戸播磨,京都奈良琵琶湖等にもかなりの数の分布が見られる。

  ホテルの規模についてみると,大都市を中心として,最近大規模化が目立つている。また,ホテルの利用状況は,登録ホテルの全国平均で38年73.4%,39年72.0%であり,これを観光地別にみると 〔IV−29図〕のとおりであり,39年で,大阪神戸播磨が最も利用率が高く,続いて,札幌支笏洞爺,東京横浜,仙台蔵王磐梯吾妻の順となつている。ホテルにおけるに日本人と外国人の利用割合は,38年で48対52である。


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