4 各国経済における運輸事業の地位


  経済の発展段階に応じて,運輸事業の国家経済において占める相対的地位がどのように変化していくかを,国民総生産に占める運輸事業(通信業を含む。以下この項において同じ)の生産額の占める比率でみてみよう。 〔1−4−7表〕

  国家経済の発展のメルクマールとして1人あたり国民所得を用い,世界各国を3グループにわけてみると,運輸事業の地位は,農業の相対的地位の低下,鉱工業の向上ほど目立つた動きを示してはいないが,わずかながら高まつている。日本については運輸事業は7.4%(うち通信業は1.4%である。)でわが国経済の発展段階にほぼ相応の地位を占めているといえよう。
  なお,国別にみてみるとアメリカが1人当り国民所得は2,506ドルで第2位のスエーデンの1,807ドルを大きくひきはなして第1位となつているが,運輸事業の生産額の占める比率は6%であり,1人当り国民所得1,000ドル以上の国が平均8.0%であるのと比べると運輸事業の地位が低いことが注目される。この理由としては,アメリカにおいては,自家自動車輸送の発達が貨物,旅客ともに顕著であるためこの分が運輸事業の発展としてはあらわれなくなるためと考えられる。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る