2 賃金の堅調とその要因
景気調整下にもかかわらず,40年の賃金は各産業とも堅調な上昇傾向を持続した 〔1−4−9表〕。「毎月勤労統計調査報告」による全産業の常用労働者の平均賃金(現金給与総額)は39,360円で前年にくらべ10.0%の増加となり36年以来5年間10%台を維持した。運輸事業においても47,164円で10.6%の伸びを示した。
資金の堅調の主要因としては(1)若年労働力を中心とした労働需給のアンバランス(2)消費者物価の高騰などがあげられるが,40年においては特に後老を背景とした労組の賃上要求によるところが大きいと思われる。
運輸業における賃金の上昇率を,定期給与とボーナス等臨時給与にわけてみると,定期給与が対前年伸び率9.3%であるのに対し,臨時給与が15.5%と全産業がそれぞれ9.6%,11.7%であるのに比較して臨時給与の上昇傾向が強くたつている。
さらに,規模別の上昇率を従業員500人以上の企業を100とした規模別賃金格差としてみてみると 〔1−4−10表〕,運輸事業においては,昭和37年頃までは規模の小さな企業の賃金上昇率が規模の大きな企業のそれを上まわり,37年,に資金格差が最も小さくなり,その後は足ぶみ状態となつている。産業総数に比較すると,運輸事業においては規模による賃金格差は小さいのが特徴となつている。
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