4 労働問題
(1) IL087号条約と公共企業体等労働関係法の一部改正
35年第34回通常国会に提出以来懸案とななつていたILO案件は46年5月第48回通常国会において可決,成立した。公共企業体等労働関係法の一部改正により,非職員でも組合の役員または組合員となることができ,また,管理監督者等も労働組合を結成し,またはこれに加入することができることとなつたが,休暇制度による在籍専従を休職制度による在籍専律制度に改める規定の施行期日については公務員制度審議会で検討を続けているが,施行後2年間は従来通りの制度によることとなっている。
(2) 要員問題
国鉄の職員数は,過去十数年にわたりおおむね45万人で推移してきた。この間の経済成長に伴う輸送量に対しては,要員不増の方針を貫き業務の合理化,近代化を推進し,職員の労働生産性を向上せしめる一方,要員合理化によつて生み出された余剰労働力を配置転換して労働力の有効的活用を図つてきた。
40年度を初年度とする第3次長期計画を実施するにあたり,一部技術要員の増加が過渡的に必要であるのみならず,輸送力増強の進捗に伴う業務量の増大に対処するために相当数の要員増加が見込まれるので,更に要員運用の合理化に努め,事務量に見合う適正な要員を配置する等,総合的な職員管理を推進する必要がある。また,国鉄職員の年令構成は 〔I−(I)−29図〕に示すとおり30才台の暦が全体の約4割を占め,中ぶくれの型となつている。このまま推移すると5年後には40才以上の者が占める割合は,57.4%,10年後には52.7%となり,職員の年令構成の極端な老令化が憂慮される`この異常な年令構成は,国鉄財政の将来に大きな影響を及ぼすものと考えられ,また,人事運用面と現業部門における適正職員の確保に多大の障害を及ぼすこととなり,経営上看過し得ない問題となつている。
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