3 旅客自動車運送事業の経営の合理化


  旅客自動車運送事業は,労働隼産性を引上げることが困難な事業と考えられているが,ワンマン・バスの導入,LPG車の採用等各種の事業の近代化合理化のための努力がなされてきている。

(1) ワンマン・バス

  車掌が乗車しないで運行するいわゆるワンマン・バスの普及は 〔I−(II)−19表〕のとおり近年めざましいものがある。ワンマン・バスの採用のメリットとしては,乗務員の節減による合理化のほか,営業所の事務の簡素化,乗車券発売に伴なう事務が減少すること等による事務の合理化等が考えられる。したがつて,ワンマン・バスの導入は,単に車掌不足という消極的なものにとどまらず,バス事業の近代化,特に生産性の向上のための有効な方策である。

  ワンマン化が円滑に進行している主な要因として,セルフ・サービス・システムの浸透,自動販売機の普及等によつて,乗客の側にワンマン・カーを受け入れる地盤が用意されたことと並んで,事業者による事前のPR,マイクロフォンを使用した運転車の案内,車両構造の改善等のサービス向上の努力が払われてきたことをあげることができる。

(2) LPG車

  燃料費がガンリンに比べ約半分で済むLPG(液化石油ガス)を使用する自動車が38年頃から急増した。LPGを使用する乗用車の大部分はハイヤー,タクシーであり,40年度末現在,ハイヤー,タクシーの47%がLPG車になつている。
  燃料を大量に使用するハイヤー・タクシーの急激なLPG車化によつて,揮発税,軽油取引税の税収が伸びなやんだことと,道路整備費の負担の公平の観点から,石油ガスにも課税するため,石油ガス税法が40年12月29目法律第156号をもつて公布され,41年2月1日から施行された。これによれば,石油ガス1kgにつき5円が課税されることになり,42年1月1日からは10円,43年1月1日からは17円50銭となる。


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