3 損益状況


  40年度には争議による莫大な損害と,ベース・アップによる船員費の支出増など,悪材料があつたにもかかわらず,中核会社および系列会社については相当の業績をあげているが,専属会社の償却利益は,前年度に比べて約7億円の減少が見込まれている。

(1) 収入

  営業収入は,3,895億円で,前年度に比して,549億円16%増と引き続いて増加したが,営業外収入は,資産処分益の減少などから5%減の99億円となつた。営業収入の増加率を他産業と比較してみると,全産業の売上高増加率は,39年度上期に6.7%から同下期は5.3%,さらに,40年上期は2.3%と下降状況に対して,海運業は上昇という対照的な傾向を示している。これは,1中核会社,系列会社の高い伸び率によるものである。

(2) 費用

  償却前営業費用は,3,014億円で,前年度に比し491億円,19%増加した。償却前費用の約92%を占める海運業費用は,新造船,用船船腹の増加,用船料率の値上り船費の増加により,前年度に比し2%増加し,海運業収入の増加率より1%を上回つたが,これは40年4月1日から支給している臨時手当と,41年2月1日からの船員給与改訂にかかる船員費増によるものである。営業外費用は,322億円で前年度とほぼ同じである。

(3) 利益

  40年度の償却前利益は,659億円で前年度に比し,53億円8%増である。なお,中核,専属会社より系列会社の伸びが著しいことが目立つている。
  償却後における利益は,44億円と見込まれている。39年度は92億円の損失が計上されたが,このうち42億円は必ずしも当該期間中に発生したとは考えられない特別損失とみる方が適切であり,実質的には約50億円の損失であつた。いずれにしても,40年度は前年に比してかなり業績が向上したわけである。


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