4 近代化の動向


  内航海運の近代化は専用船の建造,船舶の自動化,プッシャー・バージ輸送方式の採用,コンテナ輸送等により進められてきたが,今後行なわれる船腹調整,運賃および企業規模の適正化とともに,さらに近代化および輸送の合理化を進める必要がある。
  特定船舶整備公団との共有方式による内航貨物船の代替建造は,36年度から戦標船の代替建造が始られ,38年度までに113隻16万2・000総トンの戦標船を解撤し54隻12万1,000総トンの石炭専用船,一般貨物船および油送船の建造が行なわれた。さらに39年度から,内航老朽船対策として・法定耐用年数を越えた船舶を解撤して解撤1.5に対して建造1の割合で,石炭専用船,鋼材専用船,油送船,セメント専用船等の近代化船を建造させることとした。このため39年度は老朽船290隻6万8,000総トンが解撤され,専用船等の近代化船が35隻4万5,000総トン建造された。
  40年度においては,政府融資52億3,100万円(うち石炭産業合理化事業団資金9億100万円)により老朽船1,172隻15万8,000総トンが解撤され,64隻9万8,000総トンの専用船が建造された。
  41年度以降においては,内航海運対策の一環として,特定船舶整備公団との共有方式によつて毎年度内航船9万総トン,近海就航船1万2,000総トンを建造する計画である。
  特定船舶整備公団以外でもLPG専用船,アンモニア専用船・自動車専用船等,近年急速に輸送需要の増大した貨物に適合した新しい専用船が建造されている。さらにコンテナ輸送需要に対処してコンテナ専用船の開発研究も進められている。
  船員費の上昇に対処するには船舶の自動化を進める必要がある。船舶の自動化は、主として乗組員の減少によつて船舶経費を節減することを目的とするものであるが,同時に操船性能の向上,稼動率の向上,乗組員の作業環境の改善などにも資するものである。公団共有船においても 〔II−(I)−21表〕のとおり自動化船は増加してきている。

  新しい輸送方式として脚光をあびているプッシャー・バージ輸送方式も,技術上の問題もあつて,いまだその効果を充分に発揮させることはできないが,すでに土砂埋立用としてプッシャー16隻,パージ30隻が活躍しており,また,石灰石,セメント,ビレットを輸送するプッシャー・バージも瀬戸内海を中心とする航路に就航している。


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