3 船内船員設備に関する基準の制定


  船内船員設備に関しては昭和26年運輸大臣の諮間機関として,船員設備協議会が設置されて以来同協議会を中心に検討が進められ,30年には5,000総トン以上の商船に関する船員設備基準,35年には総トン数500トン以上5,O00トン未満の商船に関する船員設備基準をそれぞれ答申がなされていた。
  しかし,その後は船員法改正作業等のため具体的な進展をみていなかつたところ,39年に至り省令化の方針が決まり,船員中央労働委員会に対して「船員設備に関する省令の制定」に関する諮問が行なわれる運びとなつた。諮問された船員設備規則要綱は,新省令を(1)500総トン以上の商船に関しては船員設備協議会の答申に沿って(2)500総トン未満の商船に関しては上記答申に準じて(3)漁船に関しては37年に出された船員局長,船舶局長及び水産庁長官の3者共同の指導通達「漁船船員の労働環境改善のための措置要綱」に準じて制定することとしている。
  船員中央労働委員会は同委員会に設置されている労働基準審議会において,この要綱に基づきIL092号「船内船員設備に関する条約」を考慮しつつ,審議を進め,40年2月5,000総トン以上の商船に関する船員設備基準につき結論を得これを運輸大臣あて中間報告した。同審議会では引き続き500総トン以上5,000総トン未満の商船に関する基準の審議が続けられており近く結論を得る見通しである。
  一方,漁船の船員設備に関しては37年以来前記3岩共同通達により指導を行なつてきており,省令化もこの通達内容を中心として行なわれることとなつているが,41年6月のILO総会で「漁船の船内船員設備に関する条約」が採択されたことに伴い,同条約の批准の可能性は別としても,船員設備に関する船員労働基準審議会の審議が漁船関係にはいつたときは,同条約の内容の省令化が論議の対象となることと思われる。


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