1 船舶の大型化,高速化
近年における油送船および専用船の大型化のテンポは目覚しいものがある。昭和40年度においては15万重量トンの超大型タンカーが竣工し,さらには,20万重量トンの巨大船の建造がすすめられている。このように,わが国は巨大船建造の分野において世界をリードしているが,これはわが国の造船技術水準の優位性を示すことに外ならない。
わが国のすぐれた造船技術の基幹をなす溶接技術は,近年,片面自動溶接法やエレクトロヌラグ溶接法の採用,さらには溶接速度のスピードアツプ等により一層向上している。これら溶接技術の向上による工作法の進展やブロック建造法の近代化は,鋼材加工設備や運搬設備等造船施設の近代化と相まつて,建造期間の短縮と労働力の節減に大いに寄与している。また,大型船の肥大型船、ズングリ型船化が一般化し,高張力鋼の採用とあわせて,船質の向上,使用鋼材重量の節減,ひいては建造船価の低減に大きな効果をもたらしている。
一方,船舶の高速化についてみると,主機出力1万8,000馬力,航海速力21ノットの超高速定期貨物船の出現をみるに至つた。すなわち5年前には,載貨重量1万2,000トン級の定期船が,主機出力1万3,000馬力,航海速力18ノットであつたのに比べると著しい進歩といえよう。これは,船型の改良等による推進性能の向上に加えてディーゼル主機関が,1シリンダー当りの出力増加により,高出力化したことに負うところが大きい。また,主機出力軽減のため新船型の開発への努力も着々と成果をおさめている。
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