3 国産機の動向


  国産機を大別すると,わが国独自の設計によるものと米国航空機会社との技術提携によって製造されたものになる。前者は,YS-11,MU-2B,N-62,FA-200の4機種であり,後者はベル47シリーズ,KV-107,S-62,S-61,ベル204等のヘリコプタである。これらのヘリコプタは,農薬撒布等で比較的需要の多い47シリーズ型を除き,殆んどの機種が輸出用および防衛庁用として需要がわずかにあるだけで,民間需要が伸びない状態である。
  YS-11は,運輸省航空局および米国連邦航空庁より型式証明(航空機がその強度,構造および性能について,安全性を確保するための技術上の基準に適合すると認められたことをいう。)を取得し,現在,日本航空機製造(株)において月産約1.5機のペースで生産されており,同社社有機2機を除き,すでに22機の引渡を完了している。この中で注目すべきは,国産旅客機がはじめて2機フィリピンに輸出され,当地の路線に就航したことである。また,昭和42年3月ごろに終了が予定されている同機の第3次設計変更についての型式証明がえられれば数十機のYS-11が米国に輸出される商談が当事者間で行なわれている。
  さきに,型式証明を取得したMU-2A型機は,現在生産が中止されているが,その賢聖な試験データをもとにして開発されて,型式証明を取得したMU-2B型機は,昭和40年11月にYS-11と同様,米国連邦航空庁よりも型式証明を取得し,また,第1次,第2次の設計変更についてはそれぞれ昭和41年1月,同年6月に証明を取得した。現在月産3機のペースで生産中で,国内需要として1機が売却されたほかは,米国向けとして20数機が輸出された。一方,欧州地区でもデモンストレーション飛行中で,近い将来欧州への輸出が実現するよう話合いが進められている。生産計画としては,今後5年間に約500機生産され,そのうち約400機が対米輸出用であり、輸出産業の1つとして大いに期待される。
  伊藤忠式N-62型機は,型式証明取得後第1次および第2次の設計変更について,それぞれ昭和40年12月および昭和41年7月に型式証明を受けた。また,米国連邦航空庁よりも昭和41年9月に型式証明を取得した。現在までに5機生産されたが主として飛行クラブでスポーツ機として使用されている。
  富士重工式FA-200型機は,昭和41年3月に運輸省航空局の型式証明を取得し,その後第1次の設計変更について昭和41年7月に証明を得たが,さらに本年度中に5機を増加試作し,運用限界の拡張をはかり,その結果により本格的量産に入る予定である。この間FA-200の発動機馬力を向上させたFA-200改がSTOL実験機として使用されている。


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