1 海外観光宣伝
外国入観光旅客の誘致は,海外渡航の自由化に伴つて海外旅行収支の赤字幅が増大する傾向にある現在,わが国国際観光の当面する最も重要な課題となつており,このためとくに海外観光宣伝の強化が強く要請されている。
わが国の海外観光宣伝は,国際観光振興会法により設立された特殊法人国際観光振興会が,海外宣伝事務所と宣伝嘱託員によつて構成される海外観光宣伝網を通じて実施している。
海外宣伝事務所および宣伝嘱託員の配置状況は 〔IV−16表〕のとおりである。
また,国際観光振興会のほかに,外務省の在外公館が映画,パンフレット等により一般的な国情紹介を行なつているほか,日本貿易振興会,日本航空,日本交通公社等の在外事務所もそれぞれ宣伝活動を行なつている。今後の海外観光宣伝は国際観光振興会を中心としてこれらの諸機関の連携を強化し,宣伝方法を調整して総合的宣伝効果を発揮する必要があり,このためこれらの機関を構成員とする海外観光宣伝連絡会が昭和40年12月に国際観光振興会内に設置された。
国際観光振興会は,40年度においては,7億9,636万円(うち国庫補助金7億165万円)の事業費により海外宣伝事務所での来訪者に対する応待,電話,書面等によるわが国観光事情の情報提供,海外観光市場の調査,海外観光宣伝印刷物の作成,配付,外国の新聞・雑誌への宣伝広告の掲載,わが国紹介映画の作成・上映,観光写真・観光みやげ品等の巡回展示,各種展覧会等への参加を行なつたほか,外国の旅行記者,放送記者等の日本取材にあたつては,便宜を与える等の多彩な宣伝活動を行なつた。また,近年における諸外国のアメリカおよびヨーロッパの2大観光市場に対する観光宣伝活動のますます活発化する傾向に対処して,わが国の宣伝活動をいつそう充実強化するるとともに東アジア諸国の観光機関と協力して欧米に対する共同宣伝を実施するための体制を確立し,あわせて域内各国間の観光往来の促進等の諸施策を推進するため,同振興会の主催により,41年3月,東アジア観光会議が東京において日本,韓国,中華民国,香港,マカオ,フィリッピンおよびタイの7ヵ国の観光機関の代表の参加を得て開催され,この会議において,国際観光振興会および上記6ヵ国の観光機関により東アジア観光協会を設立し,その事務局を東京に設置することが決定された,東アジア観光協会は,欧州を重点とする観光宣伝の実施,域内諸国間の観光往来の促進,受入施設およびサービスの改善,会員国間の技術訓練の協力等を推進することとしているほか,42年に東京において第1回総会を開催することとしている。
つぎに,41年度においては,対前年比16%増の総予算8億6,562万円(国庫補助金7億7,577万円)で,海外宣伝広告の充実強化を図るとともに,次に詳述するように,あらたに国際会議・行事誘致業務を行なつている。
宣伝方法等の改善については,それぞれの海外宣伝事務所に外客誘致目標を設定して,昭和41年度上期輸出会議において決定された外客誘致目標41万4,000人の誘致の達成に努めることとしたほか,従来行なわれていたわが国の観光事情についての一般的紹介にとどまるいわゆるソフト・セールス(Soft Sales)方式を一歩前進させて,旅行意欲を現実の旅行に転化させるための効果の大きい具体的な旅程,費用等の宣伝を行なういわゆるハード・セールス(Hard Sales)方式を積極的に推進している。また,45年に日本万国博覧会が大阪で開催されることになつたので,同博覧会開催時に多数の外客を誘致するための宣伝活動を推進することとしている。
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