2 旅客内容の変化


  旅客輸送は貨物輸送ほど大きく景気の変動に影響されることなく,比較的安定した伸びを示してきたが,この間輸送機関のシェフの変化とともに旅客の内容にも変化がみられる。まず鉄道旅客についてみると,定期旅客はなお増加しているが,定期外旅客は減少のきざしをみせ,特に近距離輸送においては,通勤・通学輸送機関としての性格がより強くなつている。
  国鉄在来線の定期外旅客は, 〔1−1−11表〕に示すとおり用務旅客が最も多く,40年度は45%を占め,家事私用が26%でこれについでいる。新幹線については,用務旅客の占める割合がさらに多く56%を占め,観光が22%でこれについでいるが,39年度に比べて家事私用客のシェアが急増し,観光客のシエアも増加しており消費水準の上昇を反映している。
  航空機については,用務旅客が大半を占めているが,特に航空機事故が相ついで起つた41年2月についてみると,観光客のシェアが大幅に減少し,用務旅客のシェアが増加している。
  つぎに,旅行の種類による利用輸送機関は, 〔1−1−12表〕に示すとおりであり,40年7月から41年6月までの1年間の観光旅行に利用された輸送機関は,2年前と比べて鉄道の利用率がわずかに低くなつているほか,事故の影響もあつて航空機の利用率が減少している反面,船舶および自家用車の利用率は増加している。

  また,家族旅行に利用した輸送機関は,観光旅行の場合に比べて自家用車の利用率が高い反面,バス利用率の低いことが特徴である。
  オーナードライバーの1年間における1泊以上のレジャー旅行経験者は94%ときわめて高く,観光の実態と志向調査の場合の観光旅行経験者48%に比べて約2倍になつており,利用輸送機関は自家用車が76%と圧倒的に多い。このようにオーナードライバーの自家用車利用率が高く,しかも自家調車の普及率は急速に伸びており,近距離旅行における自家用車のシェアはますます増加するものと思われる。


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