1 世界航空の動向アメリカを中心とする世界経済の繁栄による国際旅客の増大により,昭和41年の世界の国際航空の輸送実績は旅客,貨物,郵便物を総合した有償トンキロで対前年比18.1%増の136億4,000万トンキロになつた。しかし,41年5月の太平洋における運賃値下げ,大口貨物の割引制度の拡大などにより有償トンキロ当り営業収入が低下し,また,大型ジェット機材による減価償却費の増加などにより営業費用の伸びが大きかつたため,世界航空企業の営業収益(国際,国内合計)は対前年比3.6%増の9億3,000万ドルにとどまつた。 近年における世界民間航空の輸送量の推移は 〔1−2−12図〕に示すとおりめざましい伸びを示しており,特に貨物の伸びが大きくなつている。しかし,新規需要の開拓を自指し,また,大型ジェット機の投入によりトンキロ当り営業費用が低下したため,年々運賃引下げまたは大口貨物の割引制度の拡大が行なわれ,輸送量当りの運賃収入は同図に示すとおり低下した。貨物においては,新規需要開拓のための運賃低下が特に大きかつたため,輸送量の大幅な伸びにもかかわらず,運賃収入の伸びは旅客とほぼ同じであつた。 世界の航空界が当面する最大の問題は,近い将来に出現を予想される巨人機および超音速旅客機である。巨人機は44〜45年頃,超音速旅客機はイギリス・フランス製コンコードが46年頃,アメリカ製SSTが49年頃国際航空路線に出現するといわれている。巨人機,超音速旅客機はその就航する路線が,相当量の輸送需要の存在,飛行場の整備の必要性などから限定されるので,かつてジェット機材がプロペラ機材を一挙に駆逐したような変革は生じないとしても,運賃問題などに大きな影響を及ぼすものと思われる。
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