1 船舶の輸出
昭和41年度の輸出船受注量は262隻882万総トンで14億6,600万ドルに達し,これまでの最高であつた40年度に比べてさらに59%増と大幅な伸びを示した。これはシエルグループ,ギリシャ系船主,北欧系船主,香港系船主等から15万重量トンをこえる超大型油送船の,総トン数および契約金額でそれぞれ全輸出船の50%および38%を占めるほどの大量受注があつたことと,リバテイ船代替船を見込んだ同型貨物船の一括発注が増加した等によるものである。
41年度の船舶輸出船建造許可実績を仕向国別に金額ベースでみると,リベリア,パナマ向けの便宜置籍国が54%で,これにヨーロッパ向38%を加えると9割以上を占めている。これを時系列変化でみると,リベリア,パナマ向けの輸出構成比が減少しているのに反し,ノルウェー,英国,オランダ等のヨーロッパ地域の構成比が高まつてきている。
日本の41年度の輸出船進水実績は,40年度に比べて44%増加し,277隻440万総トンとなり,世界の輸出船進水実績の56%を占めるに至つた。41年には通関ベースで総貿易輸出額の8.4%に当る8億2,309万ドルの外貨を獲得し,日本の国際収支改善に大きく貢献している。
32年の日本の輸出船進水量は,世界の輸出船総トン数の39%であつたものが,逐次シエアを拡大し,41年には56%にまでなつた理由は(1)日本の造船技術が高いこと,(2)超大型船の建造体制が整備されていること,(3)建造方式の合理化による工数の低減などコスト引き下げの努力が払われたこと,(4)契約期間が早く確実であること等である。
42年3月末における輸出船の手持工事量も主要造船所27工場で347隻,1,246万総トンと前年同期の56%増で42年度の工事量としては不足はないが,輸出船受注の将来動向としては,欧州造船所が国家の手厚い造船助成を受けて対日巻き返しを一段と活発に行ない,日本を下回る安値で受注するケースが起つていること,自由主義経済圏の不定期船,油送船船腹の先行き過剰傾向の気配のための新造需要の減退(船主の新造意欲の弱気)等必ずしも楽観をゆるさぬ状況にある。
41年の船舶用内燃機関の輸出契約実績は,ディーゼル機関を中心として1,574万ドルに達し,40年の1,256万ドルに比べて25.3%増と順調な伸びを示した。これを地域別にみると,41年もまた前年と同じく東南アジア向けが全体の84%近くを占め,輸出の中心となつている。そのほか補助機械等の輸出の伸びも順調で,41年の輸出契約実績は前年より14.6%増加し,1,664万ドルに達している。
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