2 通勤・通学輸送


  大都市における通勤・通学ラッシュについては第2部第1章で述べるとおりであるが,このような状況に対処するため 〔1−3−6表〕に示すように高速鉄道を中心に各交通機関の輸送力改善の努力が続けられており,40年度においては,35年度に比べて走行キロにおいて国鉄,私鉄は約30%,地下鉄は170%の増加をみている。しかしながら,これらの輸送力改善の努力の成果は最混雑時の混雑度の悪化を防いでいる程度にしかあらわれておらず,大都市への人口集中が今後も続くと推定されることを考えると,さらに大規模な輸送力の増強が図られねばならない。

  41年度における通勤・通常輸送を中心とする高速鉄道の輸送力増強は,国鉄については第3次長期計画の2年度目で631億円であり,総額5,190億円のうち40年度とあわせ20.7%の進捗をみた。国鉄の通勤・通学輸送力増強を,施設整備費と車両整備費にわけてみると,41年度においては前者が77%,後者が23%となつている。施設整備については,建設費中に占める用地費の割合が高いことが注目され,東京周辺の線路増設については40%程度 〔1−3−7表〕となつており,つぎに述べる道路整備におけると同様,地価対策につながる大きな問題に当面している。
  民営鉄道のうち大手私鉄については41年度において599億円の投資が行なわれ,第2次輸送力増強3カ年計画が41年度で完了し,42年度からは総額4,465億円の第3次計画が発足する予定である。新計画において踏切等の保安対策費が第2次計画の226億円(総額の15.6%)から1,172億円(総額の26.2%)に増加したことが注目される。
  大都市内旅客輸送機関としての地位を毎年高めている地下鉄については,41年度において758億円の投資が行なわれたが,今後さらに42年度から46年度までの5ヵ年間に,東京,大阪,名古屋および横浜について全体で約6,000億円の投資が必要とされている。


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