3 道路交通問題


  大都市における道路交通需要の増大傾向は著しいものがある。これを自動車台数の増加傾向でみると36年度末において東京都では24万8,000台,大阪では12万7,000台であつたものが40年度末においてはそれぞれ120万7,000台,69万7,000台と4,9倍,5.5倍の増加となつている。自動車台数の増加は自家用トラックおよび自家用乗用車において特に著しく,都市交通問題の一方の柱である通勤・通学輸送力が主として営業輸送需要に対する施設整備の問題であるとすると,道路交通問題は自家輸送需要の急増に対する道路,駐車場,自動車ターミナル等の自動車関係の施設整備の立遅れの問題であるといえる。
  東京都における道路の整備状況を地区別にわけて道路率(道路面積/地区総面積)でみると 〔1−3−8表〕に示すとおりで都心6区において最も高く,以下それ以外の区部,市部,郡部の順となつている。ワシントンの43%,ニューヨークの35%,ベルリン,パリの26%等世界の大都市の道路率と比べると,東京都の場合も今後さらに整備を強めていく必要があるが,道路工事費に占める用地費および補償費の割合が東京都および大阪府については 〔1−3−9表〕にみられるようにすでに50%を越えていること,ならびに最も地価の高い都市中心部において最も道路率を高めていかなければならない点等,地価対策につながる大きな問題に当面している。


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