2 鉄道車両工業
鉄道車両製造業の昭和41年度の生産額は,653億円となり,前年度の756億円と比べて14%減少した。41年度の生産車両数でみると,蒸気機関車7両,電気機関車96両,ディーゼル機関車215両,客車27両,ディーゼル動車492両,電車1,702両,貨車9,612両で,貨車換算総合車両数では60,952両となり,40年度に比べて7.7%減となつた。これは,国鉄向けの車両生産が減少したことに起因している。鉄道車両工業は40年度において近年の車両生産実績としては最高の記録をうちたてているので,それから8%弱減といつても生産基準としてはかなり高いものである。
つぎに需要先別,車種別に前年と比較しての41年度の生産の特色をあげると,まず国鉄向けでは,ディーゼル機関車の生産が倍増し,貨車が半減している。
鉄道車両工業の経営動向は 〔1−4−15図〕のように国鉄依存度が増大傾向(30年度には全生産額のうち57.2%が国鉄向けであつたが,40年度には74.5%を占めるに至つた。)にあるため,国鉄からの車両発注に左右されることが極めて多い。そのため4年度の車両製造業界は国鉄からの発注が一段落したため決して好況とはいえなかつた。鉄道車両製造業6社の41年度上期決算についてみると,売上総利益は前期に比べて横ばいであるが,経常収益については13%減少した。
41年度の鉄道車両部品製造業の生産額は,40年度367億円から36%増加して499億円となり活況を呈したが,大企業の鉄道車両製造業と中小企業の鉄道車両部品製造業の経営状態を40年度の経営指標で比較すると, 〔1−4−14表〕のとおりで,収益性,健全性のすべての点について後者の経営指標は悪く,かなりの差がある。
鉄道車両工業の41年度設備投資実績は,15業者総計30億円で,40年度実績に比べて19.2%減となつた。これは国鉄の第3次長期計画私鉄の輸送力増強計画における車両の需要増をみこして,40年度に積極的な投資を行なつたが,最大の需要先である国鉄の収入の伸びなやみおよび予算の縮減等の影響を受けて41年度には消極的となつたものである。
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