3 畜産品・水産品


  国民の食料消費生活の構造変化にしたがい,都市,農村を問わず畜産物に対する需要は水産物の需要を上回る傾向にあるが,これを反映して両者の生産指数(35年=100)は畜産物176に対して水産物111と対照的である。
  畜産物は大規模飼養が行なわれるとともに特定地域に集中する傾向がある。にわとり,豚など土地との結びつきが少なく,購入飼料に依存し得る家畜は資本集約的経営のもとに大都市近郊に立地しているが,乳用牛,肉用牛等飼料畑,草資源など土地との結びつきの高いものは北海道,九州,東北,その他の地方色が強い。輸送量は 〔2−2−3図〕に示すように35年度対比で約4倍となつているが,南関東を含む東日本での伸びが大きい。域内輸送はもちろん,域間輸送でも自動車が大きなシエアを占めている。その流通形態は従来,肉類については生体輸送されていたが,近年コールドチェーンの発達とともに飼養地に処理工場を設け枝肉,カット肉として輸送される傾向にある。このため冷蔵貨車,冷蔵トラックの利用が増えつつある。
  水産物は,沿海漁業が伸びなやみ,わずかに外洋漁業の伸びに支えられ,総漁獲量は35年度対比で3%増にとどまつた。地域別には北海道,北九州での比重が高いが,これに対する消費は東京,大阪等消費地が中心となつている。
  輸送量は 〔2−2−4図〕に示すように,35年度対比で70%の伸びである。地域別には,大消費地帯での伸びが高く,北海道,山陰,山陽,北九州など従来大きなシエアを占めていた生産地域での輸送量の減退が著しい。域内輸送では自動車が大勢を占めているが,域間輸送では自動車,内航海運の伸びが高い。しかしながら遠隔地生産という特殊性にみあう鉄道輸送の重要性が認識されており,高速鮮魚特急列車の設定による鮮度保持と価格安定への効果が注目されている。


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