2 石炭
かつてわが国の基幹産業の一つと数えられた石炭産業も,昭和30年代のめざましいエネルギー革命の進行のうちに,きびしい合理化策の遂行を迫られ,生産は昭和36年度をピークに減少の一途をたどり,35年度対比で3.5%減となつている。
生産地としては,筑豊炭田の閉山とともに九州のシエアは後退し,かわつて,開発が新しく,かつ,埋蔵量の豊富な北海道がシエアを伸ばしている。
輸送量は,生産量に比例して 〔2−2−7図〕に示すように逐年減少しており,35年度対比で,12%減少している。特に,
(イ) 北海道から関東を中心に東北,中部,近畿の諸地方への流出。
(ロ) 北九州から阪神を中心に山陽,四国,中部,関東の諸地方への流出。
という従来の地域相互間流動の2大主流のうち,北九州発輸送量は30%減と大きな減少をみせているのに対し,北海道発の輸送量は順調な伸びを示し,17%増となつている。
また輸送機関別輸送量についてみると,鉄道14%減,自動車16%減となつているが,内航海運は4%の減少にとどまつており,特に域間輸送の分野では80%以上のシエアを占めるに至つている。
このように内航海運のウェイトが高くなつているのは,船舶輸送に依存することの多い北海道炭のウェイトが高まつたためであるが,その近代化の方向として石炭専用船の建造とそれに伴う配船,荷役の共同化,専用埠頭,積込施設の増備,交錯輸送の是正等が積極的に進められた。
このほか,陸上輸送距離の比較的長い北海道炭のスラリー輸送および専用船の採算範ちゆうに入らない北九州〜瀬戸内間輸送のためのスチールバージ輸送が検討されている。
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