2 機械


  わが国機械工業は昭和30年代前半の高度成長期に市場条件,関連産業,流通機構などの関連から大都市指向型の立地傾向を示したが,後半にはいると民間設備投資のスローダウンや一般景気の鎮静などがあつて,安定的成長は続いたもののその基調には大きな変化が生じなかつた。
  すなわち,35年度対比で地域別のシエアの変化をみると,3大工業地帯である南関東,東海および阪神の合計出荷額は全国総出荷額対比でほぼ横這いに推移している。ただ,注目すべきは3大工業地帯のなかにもシエアの変化がみられることで,南関東と東海の2地域は着実なシエアの増加をみせているのに対し,阪神はシエアの減少が続いている。
  輸送量は 〔2−2−9図〕に示すように35年度対比で265%と,その増加率は品目別にみて最も著しい部類に属する。各地域とも一様に増加しているなかでも南関東は伸びが大きくてシエアを増大している。また,域間輸送量の比重がやや増してきているが,それでも域内流動率が高いのは,すでに述べたような機械工業の大都市立地指向に見合うものである。このように,比較的近距離の域内輸送が多いために,輸送機関別シエアでは自動車が93%ときわめて大きいが,一方では,域間輸送での内航海運が伸びていることも注目に値しよう。これが比較的顕著な形であらわれているのがめざましい躍進を遂げた自動車産業であつて,大量生産化が進むにつれ従来の自走依存の輸送形態から,ストックポイントを主要消費地に設け,そこまでは大量輸送機関たる船舶輸送によるという方法に切りかえることによつて,輸送合理化が進められており,最近では専用貨車による鉄道輸送も軌道にのりつつある。


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