2 繊維工業品


  重化学工業化の進展につれて,繊維産業の地位は低下傾向にあるといわれているが,40年度で工業出荷額の11%,輸出額の19%を占め依然として重要な地位を占めている。しかも重化学工業化とともにこの産業においても装置産業的化学工業の性格を帯びた合成繊維のウェイトが高まりつつある。この合成繊維の生産量についてみると35年度対比で2.8倍となつており,地域別には原料,製品の大量輸送の必要から海上輸送が可能な瀬戸内海沿岸,東海地方など臨海部に工場が所在している。
  その流通経路についてみると,長繊維の約80%は北陸の機織地へ,短繊維は中部,関西の紡績工場へ出荷され,加工後いずれも全国に散在する縫製業者の手にわたつている。短繊維の需要先は,企業規模の大きい紡績工場であるため出荷ロットも大きいのに対して,長繊維の需要先は小規模企業であるため最寄りのストックポイントまで大口輸送され,そこから各需要家あての小口輸送が行なわれる傾向にある。また輸送体制としてブロック別集約輸送体系がとられ,地域別に特定のトラック業者が指定され,これに全面的に輸送がまかせられているため全体として自動車輸送が中心となつている。
  このような合成繊維を含めた繊維工業品全体の輸送量は 〔2−2−14図〕に示すように39年度対比で1.9倍になつている。地域別には北陸,東海,近畿,阪神等主要生産地で全体の約6割を占めている。消費材としての性格上域内流動率は高く,そのうち99%まで自動車輸送となつている。域間輸送の伸びも域内輸送とほぼ同じ傾向にあるが,内航海運のウェイトは高まりつつある。


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