1 発展途上国問題


  発展途上諸国は,世界海運市場への自国商船隊の参加を増大させ,また,先進海運国によつて形成されている既存の国際海運秩序を発展途上国に有利に変更しようと努めている。このような発展途上国の主張は,昭和39年に発足した国連貿易開発会議の場において集中的に現われている。42年2月から3月にかけて開催された同会議第2回海運委員会では,荷主と海運同盟との協議機構の確立に関する勧告が採択されたほか,海上運賃,同盟慣行,自国商船隊の育成,港湾の改善整備等の諸問題に関し,事務局の中間報告が行なわれる等,海運問題の討議は着実に進展をみせているが,そのなりゆきいかんは,今後の国際海運のあり方に重大な意味をもつている。
  また,発展途上国は,自国商船隊の育成を図るため,国旗差別政策を強化する傾向にあるが,とくに多数国間協定による国旗差別の最初のケースとして,ラフタ(ラテン・アメリカ自由貿易連合)水上輸送協定が近く発効しようとしており,これに伴い,先進海運国の間で,国旗差別対抗措置を検討する動きが高まつてきている。


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