4 今後の課題


  42年3月に決定された「経済社会発展計画」によると,46年度の内航海運の輸送量,輸送トンキロは,ともに40年度の1.7倍となり,トンキロにおいては国内貨物輸送トンキロの50%近くを占めるものとされている。
  わが国経済の今後の一層の安定成長を図るためには,流通の近代化がきわめて重要なものとして注目されてきているが,内航海運対策も,内航海運の国内貨物輸送に占める地位の重要性の認識のもとに,流通近代化の一環として生み出されたものといえる。対策の実施については,経済情勢の変動等により修正を余儀なくされてはいるがその効果は,最終的に輸送本来の使命である安全,確実,低廉なサービスを提供する体制がいかに確立されうるかという見地から判断されなければならない。
  近年の内航海運の情勢をみると,外航コンテナ船の就航に伴う内航コンテナ船の問題,大規模な原油輸入基地の設置に伴う大型内航タンカーの問題等,内航海運の輸送構造の変革を伴う問題が現実の日程にあがつてきており,内航海運は多くの問題に直面している。かかる情勢のもとに,今回の内航海運対策を一つの契機,教訓として前述の経済の基本的な要請に適合しうるため,内航海運業者は自主的に係船等の調整事業,共同事業を効果的に行なうための体制をつくるとともに,経営基盤の強化を図るためのたゆみない努力が今後益々必要であり,政府においても,かかる観点からの指導を一層強力に進めることが必要である。


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