4 最低賃金
(1) 機帆船船員に対する最低賃金は,42年1月最低賃金法第16条に基づく最低賃金の実施により完全に普及した。この最低賃金の内容は,月額1万8,000円で,他の最低賃金の適用を受けない船員に適されるものとなつている。また既存の9条(業者間協定)方式による最低賃金決定については,各船員地方労働委員会の改正勧告答申にしたがつて改正が終り,その結果,42年8月15日現在の最低賃金決定状況は,16条方式によるもの1件(1,607事業者3,268船員),11条(労働協約の地域拡張)方式によるもの1件2万400円(30事業者149船員),9条方式,125件(5,845事業者1万3,811船員)となつている。9条方式による最低賃金を金額別にみると1万8,000円28件,1万9,000円50件,2万円46件,2万円以上1件となつている。
(2) このようにして機帆船の最低賃金は一応完全実施をみたので,今後最低賃金の普及を図る必要のあるのは,小型鋼船および漁船である。従つて,小型鋼船の最低賃金の策定に着手することとし,42年6月船員中央労働委員会に適用の方法および内容について運輸大臣から諮問を行なつた。
(3) なお,最低賃金法の業者間協定方式には制度運営の実態からみて批判があり,経済情勢に即答した最低賃金制度を実施するためには最低賃金審議会(船員労働委員会)の調査審議方式によるべきであり,業者間協定方式は廃止することが適当であるとの中央最低賃金審議会の答申(42年5月15日)および船員中央労働委員会の答申(42年5月20日)に基づき最低賃金法の一部改正する法律案が第55回国会に提出された。しかし,同法案は第56回国会に継続審議となった後,同国会で廃案となつた。
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