2 英国
英国政府および造船業界は,造船業再興に非常に意欲的である。1965年2月には,商務大臣の命により,英国造船業に国際競争力を付与するため,産業界,学界の有識者からなる造船調査委員会(ゲデイス委員会)が設立された。このゲデイス委員会は,日本をはじめ,欧州各国の造船事情を調査した結果,英国造船業としては業界を4〜5グループに再編成し,労使の協調を条件に政府が設備資金,運転資金を供与する必要がある旨の報告書を提出した。この報告書に基づき,造船工業法が1967年6月28日制定された。
この法律は,英国造船業の能力助成の機能を有する造船工業庁を設立し,合併または再編成を行なう造船会社および主機製造会社に対して,1970年末までに総額500万ポンドの補助金を与え,また総額3,250万ポンドの融資を行なえるよう規定している。
また技術大臣は,英国造船所に発注する英国船主が,その建造のため借り入れる融資について,常時2億ポンドを限度として保証を与えることができることになつている。この措置により,英国における国内船の建造融資利率(現在8.5%〜9%)は,輸出船なみ(5.5%)に引き下げられ,したがつて最近顕著になりつつある英国船主の海外発注の傾向がうすれるものと思われる。
このように英国は,官民一体となつて造船業の国際競争力を強化しつつあるが,その具体的な現われとして1967年6月14日に公表されたスワンハンター社,ビッカース社,ホーソン・レスリー社およびジョン・レッドヘッド社の4大造船所の合併があげられる。この合併により,年間建造能力は約50万総トン,資本金は1,000億円,従業員は12,000人の大造船所になると思われる。
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