1 造船関連工業の企業構造
造船関連工業の企業数の約80%は資本金5,000万円以下のいわゆる中小企業で占められており,資本金5,000万円〜10億円の中堅企業と資本金10億円以上の大企業が各々10%ずつを占めている。このため造船関連工業の生産の約70%は中小企業および中堅企業に委ねられており,おもな製品についてみると,甲板機械,内燃機関は中堅企業が,風水力機械は中小企業が大部分を生産している。これに対して大企業の生産ウェイトの高いものは航海計器,内燃機関の部分品,附属品である。
上記のように,造船関連工業の主体は中小企業および中堅企業であつて,の企業力は強いとはいえないこと,需要者は造船所または船主という特定少数の巨大企業であり,メーカーは需要者との系列関係に依存する傾向にあること等のために企業専門化が阻害され,その体質改善を遅らせる原因となつている。しかしながら,すでに製品の過半数を輸出しており,また,資本の自由化も推進されるなど需給構造をはじめとする一般環境が質的変化をきたしつつある現在,かかる閉鎖的環境から脱皮してメーカー相互の連帯を深め,企業の専門化を推進して企業基盤の強化を図ることが今後の造船関連工業の課題であろう。
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