3 技術開発の促進
(1) 巨大船総合研究について
40年12月に造船技術審議会より運輸大臣に対して行なわれた。諮問第12号「巨大船建造上の技術的問題点およびその対策如何」に対する答申の趣旨に基づき,巨大船建造上の総合的な技術水準の向上を達成するため,巨大船の船体構造,基本的性能,推進機関,および安全性等について検討を行なうべく41年6月造船,海運業界および大学,国立研究機関等の学識経験者が研究討議した結果20万トンタンカーはディーゼル船とタービン船の2種類,50万トンタンカーはA船型とB船型の2種類についてそれぞれ主要寸法,主要目が決定され,それに基づき構造,性能,機関,ぎ装,設備,安全性および経済性の見地から総合的な技術検討が行なわれ,昭和42年3月に「巨大船に関する技術調査報告書」としてとりまとめられた。
なお,本技術調査に引続き42年度に50万トンタンカーの試設計が行なわれる予定である。
(2) 内航船舶の代代化
現在の陸上交通難を考えると,貨物を低廉かつ大量に輸送する手段としての内航海運の重要性がますます高まつてくるものと思われる。このためコンテナ専用船による輸送方式を内航海運にも採用しようとする動きが見られるようになつてきた。
これらの情勢にかんがみ,内航海運の近代化のため技術開発3カ年計画の2年度としてコンテナ専用船の技術的問題点について調査を行なつた。調査の結果,コンテナリゼイションへの過渡的時期であることにより,港湾設備が未整備であるので本船は荷役設備をもつことになつた。単胴船は荷役の能率化,積付の効率化のため,船倉内はセル構造とし,船幅を広くし十分なバラストをとり,機関室をコンパクトにすることが必要である。またサイドボートからフォークリフトによる荷役も考えられる。双胴船においては,甲板上の固縛のみが問題であり,甲板面積は広く車両の乗入れも容易であるのでコンテナ専用船として有利と考えられる。
近い将来,港湾荷役設備が整備され,外航コンテナのフィーダーサービスを考えると,専用船はクレーンをもつ必要はなく,広い船倉,広い甲板をもつ特異な船型になるものと考えられる。
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