2 国内航空業界の再編成


  国内航空業界の再編成に関しては,昭和40年12月に行なわれた航空審議会の答申で示された方針があり,同答申によれば将来におけるわが国定期航空運送事業のあり方としては,国際線1社,国内線2社が適当であるとされている。
  同答申後41年2月,3月の相つぐジェット機事故の続発という事態にかんがみ,航空の安全性の確保および航空企業の適正な運営の確保のため,企業の集約化により航空企業の経営基盤の強化を図るべきものと考え,中村運輸大臣は41年3月石坂泰三,植村甲午郎の両氏に関係企業間のあつ旋を依頼し同年4月両氏より,当面とるべき措置を中心とする意見書の提出があつた。
  政府としては上記答申及び意見書の趣旨を尊重し,41年5月20日つぎの内容の閣議了解を行ない,航空企業の再編成を強力に推進することとなつた。
  航空企業の経営基盤の強化について
  先般の航空事故の続発にかんがみ,航空の安全性の確保その他航空事業の適正な運営を期するため,早急につぎの措置を講ずるものとする。

(幹線)

 1. 各企業における保有機数の増加を抑制することにより,需給の調整を行なう。
 2. 日本航空と日本国内航空とは,適正な条件により将来合併することを前提として適正な条件により運営の一体化を図る。
 3. 日本航空と全日本空輸とは,営業および技術の両面において運営の協調化を図る。

(ローカル線)

  各企業の経営合理化の徹底を図るとともにローカル線運営企業の幹線企業への統合を促進する。
  なお,政府においても,飛行場の改善整備,乗員養成施設の充実強化等の施策の強力な推進を図るものとする。
  この閣議了解に基づき,運輸省としては関係企業を指導して,これらの措置の早期実現を図つているが,現在まで再編成に関し,つぎのような企業間の動きがみられている。
  まず,日本航空と日本国内航空とは,41年6月の覚書により46年4月頃までの適当な時期に合併することを目標とする旨の合意に達し,日本国内航空は41年7月以降幹線運営を日本航空に委託した。また41年9月日本航空は日本国内航空に対し,4名の役員を派遣し,両社間において日本国内航空の事業改善の計画を作成して,現在同計画を実施中である。
  日本航空と全日本空輸との間において覚書きを交換し,幹線の便数調整を行なつており,さらに運賃プール等の両社の協調についても話し合いを進めている。
  さらに全日本空輸と東亜航空,長崎航空との間においても合併等の交渉が進められている。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る