3 新東京国際空港の建設


(1) 位置の決定と公団の設立

  新東京国際空港は,昭和45年頃と予想される現在の東京国際空港の行詰りを打開するため,その建設が急がれているものである。
  新空港の候補地については,37年以来東京周辺において広く調査検討を進めてきたが,38年には運輸大臣より航空審議会に対して新空港の候補地およびその規模について諮問が発せられ,同年12目答申が出された。
  その後,新空港の候補地については各界からいろいろな意見が出され,40年3月には関係閣僚懇談会からも改めて霞ヶ浦の埋立てを中心に候補地問題について再検討するよう指示された。これに基づき関係者省庁それぞれ所管に応じて調査検討の結果,霞ヶ浦は主として土木技術上難点が多く新室港の候補地としては適当でないことが明らかとなつたため,同年11月28日の関係閣僚懇談会において千葉県富里が新空港の位置として内定されるに至つた。
  内定後,新空港の設置に伴う地元対策について千葉県当局とも協議を重ねたが,富里は地元対策上難点が多いことが明らかとなつたため,航空技術的な条件に問題がなく,かつ,県有地および国有財産である下総御料牧場を最大限に活用できる成田市の三里塚を中心とする地区に新空港を設置することとし,41年7月4日の閣議において詳細な地元対策とあわせ正式に決定した。
  空港位置の決定により,第2条(新空港の位置は政令で定めるとする条文)を除きたなあげされていた新東京国際空港公団法(昭和40年法律第115号)は,同年7月7日付で全面施行され,これに伴い同月30日新空港の設置および管理にあたる新東京国際空港公団が発足した。

(2) 建設計画

  新空港および航空保安施設の設置および管理にあたつての根幹をなすべきものとして,41年12月12日運輸大臣から新東京国際空港公団に対し基本計画の指示((3)参照)が行なわれた。これに基づき同月13日公団から運輸大臣に対し新東京国際空港の設置に関する工事実施計画の認可申請がなされた。運輸省としては,航空法の規定により,42年1月10日千葉市において公聴会を開催し,利害関係人の意見を聴取した後,同月23日工事実施計画を認可し,同月30日付官報をもつて告示を行なつた。以上の手続きにより新空港の設置に関する法律上の手続きは航空保安施設に係るものを除き一応終了した。
  公団の事業は,上記の基本計画および工事実施計画に基づき実施されるが,新空港の建設計画はおよそつぎのとおりとなつている。( 〔III−25図〕参照)
  42年度から43年度にかけて用地全部の取得とこれに並行して敷地造成を開始し,43年度後半から滑走路,誘導路,エプロン,ターミナルビル,給油施設,航空保安施設等の建設に着手し,45年度末までに4,000メートル滑走路およびこれに附帯する諸施設を完成し,46年4月より供用開始する。
  さらに,48年度末までに2,500メートル滑走路および横風用3,200メートル滑走路ならびにこれに附帯する一切の施設の建設を完了し,49年4月から全面供用開始することとしている。
  新空港の建設に要する資金は政府からの出資ならびに資金運用部からの借入および公団債の発行により調達し,借入金等は供用開始後着陸料,ターミナルビル家賃,給油施設使用料等の収入をもつて償還する計画としている。
  41年度予算25億円(政府出資10億円,財政投融資15億円)は年度内に空港予定敷地内への立入りができなかつたため各種の基礎調査等に約5億円を支出したほか,事業費の大半を42年度へ繰り越した。42年度は政府出資20億円,公団債30億円のほか債務負担行為限度額として50億円,合計100億円が計上されており,41年度予算とあわせて敷地の大部分が買収される予定となつている。
  つぎに,41年7月4日位置決定した際に閣議決定された地元対策等のうちの道路,鉄道,用排水,土地改良,新都市計画等の関連公共事業については,41年度に調査調整費約5,000万円をもつて関係各省庁において基本的な調査が実施され,42年度において引き続き行なわれることとなつており,この調査の結果をまつてこれら関連公共事業の具体的計画が策定され,空港の建設に歩調をあわせた推進がはかられる必要がある。

(3) 新東京国際羅港公団法第2工条の規定による基本計画

 1. 滑走路の数,配置,長さ,幅及び強度並びに着陸帯の幅

 (1) 滑走路

     (イ) 数 滑走路の数は,3本とする。
     (ロ) 配置 滑走路の配置は,2本は平行滑走路,他の1本は横風用滑走路とし,平行渦走路の間隔は2,500メートル以上とする。
     (ハ) 長さ 平行滑走路のうち1本の長さはおおむね4,000メートル,他の1本の長さはおおむね2,500メートルとし,横風用渦走路の長さはおおむね3,200メートルとする。
     (ニ) 幅 滑走路の幅は,各滑走路とも60メートルとする。
     (ホ) 強度 滑走路の強度は,おおむね4,000メートルの長さの滑走路及びおおむね3,200メートルの長さの滑走路については単車輪荷重45トンとし,おおむね2,500メートルの長さの渇走路については単車輪荷重25トンとする。

 (2) 着陸帯の幅

      着陸帯の幅は,各滑走路とも300メートル以上とする。

 2. 空港敷地の面積

      空港敷地の面積は,1,060ヘクタール程度とする。

 3. 航空保安施設の種類(省略)

 4. 工事完成の予定期限(省略)

 5. 運用時間

      運用時間は,24時間とする。


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