3 産業観光および家庭生活の紹介


  来訪外客に対し,その国の産業および家庭生活を新しい対象として積極的に紹介する産業観光およびホーム・ビジツトが近年世界的に重視されている。これらの新しい観光方式は,従来観光対象と考えられていた自然の風景,文化財等に加え,近代的な産業,伝統的な工芸,各国独自の特色をもつた国民生活等を新しい観光対象として紹介し,これらの新しい観光魅力によつてより多くの外客を誘致しようとするものであり,その国際観光に果たす役割も大きい。
  まず,産業観光についてみると,41年度には,前年度の近代的工場の調査に引続きわが国の伝統的産業182ヵ所を対象に,見学方法,見学者のための施設およびサービス,その他の受入れ体制を調査し,和英両文の「産業観光対象施設要覧」を作成したので,国際観光振興会,在外公館,一般旅行あつ旋業者等の関係者に配布した。
  つぎに,ホーム・ビジツトについてみると,現在,本制度は,神奈川県,京都市および神戸市において本制度に加入している約200の会員家庭の好意で自分の家庭を公開することにより行なわれており,その案内,あつ旋等は,国際観光振興会の総合案内所および神奈川県庁,京都市役所,神戸市役所等において行なわれている。また,一部の旅行あつ旋業者の中にも直接受入れ家庭と契約を結び,これを旅程の中に組み入れているものもある。
  しかしながら,この制度を利用する外客の数は, 〔IV−18表〕のとおり,逐年必ずしも増加していない。これは,ホーム・ビジットに関するPRが不足していること,およびホーム・ビジット会員,旅行あつ旋業者間の情報交換が不十分であること,受入れ家庭にも言語障壁のあること等受入れ体制が必ずしも十分でないことによるものと思われる。この制度は,一般に受入れ家庭の好意的奉仕によつているため,その組織化と運営には少なからぬ困難を伴うことが多いが,本制度の国際観光振興のうえに果たす役割の重要性を考えると,今後これを育成していくことが必要である。


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