2 国際航空市場における貨物輸送の動向


  旅客輸送を中心に国際航空輸送は,めざましい発展をとげてきたが,近年は,貨物輸送の分野でも著しい発展をみせている。昭和35年から42年までの世界の貨物輸送量の平均伸び率は20.1%で,旅客の14.5%を上回つている。
  航空貨物輸送が,最近,このように著しい量的拡大をなしとげえた理由としては,第1に,1960年代においてDC-8,B-707などの大型ジェット機が,国際線に就航して輸送力が増強され, 〔1−2−5図〕に示すように,輸送機器類,機械類など,ある程度の重量貨物が,航空貨物の対象となってきたことがあげられる。第2に, 〔1−2−6図〕に示すように,航空貨物運賃がさがり,また各種の大口割引運賃が設定されて,航空輸送の新規需要が喚起されたことがあげられる。この航空貨物の大口割引制度を利用して,航空貨物混載業者は,荷主から集めた小口の貨物をひとまとめにして輸送する道を開いた。

  このような背景のもとに航空貨物輸送は,飛躍的な発展をとげてきたが,最近航空における技術革新が国際的な規模で急速に進展しており,昭和45年に就航を予定されているジャンボー・ジェット機B-747や44年ごろ出現が予想される超大型機L-500は,100トンから130トン近い搭載が可能である。そこで,このような航空機の大型化に対応して,現在貨物ターミナルの機械化とともに航空貨物のコンテナ化がすすめられている。これらの状況から今後輸送力が大幅に拡大するとともに,単位あたり輸送コストもますます軽減してゆくものと考えられる。また,荷主は,国際貨物の輸送手段の選択にあたり,単に港から港までの運賃だけではなく,包装費,保険料,金利,倉庫料,在庫率,さらには時間価値をも含めた総合的輸送コストによって判断することになるので,国際貿易の品目によっては,航空機による貨物輸送がいつそう伸長していくものと予想される。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る