2 航空関係国際収支


  昭和42年の航空関係国際収支は受取1億1,800万ドル,支払1億3,500万ドルであり,収支尻は1,700万ドルの赤字となつたが41年に比べその赤字幅はわずかながら改善された。このように赤字幅が小さくなつてきたのは41年11月のニューヨーク乗入れ,42年3月分世界一周路線の開設,42年4月のモスクワ乗入れといつた一連のわが国国際航空の積極的な路線拡充の結果,旅客運賃収入が増加したためである。また43年4月からはニューヨーク~パリ線の新設および南回り欧州線の増便,ペイルートヘの乗入れ等が実現し,わが国の国際路線網はいつそう拡充することとなつた。しかし,これら航空路線の開設は,原則として二国間協定に基づいてなされるものであり,相互主義の建前からわが国航空企業の相手国への乗入れと同時に,相手国航空企業のわが国への乗入れも行なわれることとなる。したがつて新路線の拡充によりはげしい国際航空輸送競争を招くことが十分予想される。これの対策として,(1)政府援助の強化,(2)航空協定の締結改訂,(3)新鋭機の投入による積取比率の向上,とくに貨物専用機の増発,(4)乗員養成の強化,等の諸施策を強力におしすすめることが重要であるが,さらに日本人の自国機利用率が約52%(昭和42年度,東京国際空港出入日本人に関する調査)と低位にあることを考慮する'と,公費による渡航者はもちろん,一般国民にも積極的に自国機利用を呼びかけ,その利用率を高めるべきであろう。


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