3 旅行関係国際収支
世界の国際観光は一貫して拡大発展をしている。42年に世界各国を訪れた観光旅客数は1億3,800万人,観光収入は141億ドルとなつた。
このような観光旅客数の増大に伴つて国際観光に対する認識も高まり,国際連合では,昭和42年を「国際観光年」と指定するとともに観光が諸文化の交流,諸国民の相互理解の増進に果たす役割の重要性にかんがみ,各国政府が,外客優遇措置,出入国手続の簡素化等に対し考慮を払うよう呼びかけた。亡の要請に応じて42年には世界の各国で多彩な行事がくり広げられ,また査証の廃止,通関手続の簡素化等の面で著しい改善がみられた。
わが国への来訪外客数は42年において47万7,000人で前年に対し10.1%の伸びとなつたが,この率はここ数年の伸び率に比してやや低いものとなつている。一方,出国日本人数は42万8,000人となつており,わが国国内の生活水準の向上と海外旅行ブームを反映して対前年比25.3%増と著しい伸びをみせた。このため,旅行関係国際収支は受取が8,900万ドル,支払が1億4,600万ドルとなり,収支尻は,5,600万ドルの赤字となつた。旅行関係国際収支のうち観光旅行収支は毎年黒字基調にあるが,その額は日本人の海外旅行の活発化による支払の著しい増加のため,年々減少しており,42年には1,300万ドルとなった。また,最近米国が,ドル防衛策の一環として海外旅行抑制案を打ち出しているが,従来米国人がわが国来訪外客数の半数を占めていたことを考慮すると,この抑制案がわが国の旅行関係国際収支に対してかなりの影響を及ぼすことと予想される。
このような情勢にかんがみ,今後わが国としては,海外観光宣伝の強化,出入国手続の簡素化,宿泊施設の整備,外客接遇の向上等積極的な外客誘致策を強力に推進して旅行関係国際収支の改善にいつそう努力する必要がある。
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