3 設備投資の動向
昭和42年度の運輸事業の設備投資実績は国鉄を除き5,689億円で 〔1−5−8表〕に示すとおり41年度に比べ18%増となり,全産業の39%増より低くなつている。これを業種別にみると,民営鉄道業,トラック運送業,自動車ターミナル事業が引き続き好調な伸びを示しているほか,前年度まで停滞ぎみであつた港湾運送事業,倉庫業がきわめて高い伸びを示し,近代化投資を急いだことが注目される。国鉄の42年度における設備投資実績は,3,554億円で前年度に比べ1.4%増にとどまつたが,営業収入に対する比率でみると,41.5%でかなりの高率といえよう。
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国鉄を除く運輸事業の設備資金の調達内訳をみると 〔1−5−9表〕に示すとおり,内部資金が1,626億円で対前年度比35%増,外部資金が4,063億円で12%増となつていて,内部資金が前年度に引き続き大幅に伸びている。このため,内部資金の全資金に占める割合は,41年度の25%から42年度には29%へと増加した。外部資金のなかでは,政府金融機関からの借入金が伸びずその構成比も低下している。
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国鉄の42年度の資金調達内訳は,内部資金が18.7%,資金運用部借入金10.0%,政府引受債10.4%,公募債31.4%,利用縁故債29.5%で,41年度に比べ,内部資金の減少が目立つた。しかしながら国鉄,民営鉄道業,外航海運業,民間航空業などの業種を除いた他の運輸事業の多くが中小規模の事業者で占められており,機械化のための多額の設備投資の資金確保は必ずしも容易でないことから,道路貨物運送業,通運業,港湾運送業,倉庫業および自動車整備業等は,41年度から中小企業近代化促進法の指定業種に指定され,合併による企業集約化,あるいは協同組合の設立を行なつたうえ,機械化投資に必要な資金について日本開発銀行,中小企業金融公庫,北海道東北開発金融公庫からの融資をうけている,41年度から45年度までの設備投資計画は 〔1−5−10表〕に示すとおり,その総額は対象指定業種だけで1,961億円に達している。さらに今後は運輸事業における近代化のための多額の資金の確保と同時に,これら近代化のための投資に対する財政資金の活用,低利融資,固定資産税の減免,利子補給,高率償却制の実施等の有効な助成措置が望まれている。
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