1 国内運賃の動向


  国内における営業輸送サービスのほとんどは,公共性の強いものであるため,運賃料金の水準は,収支状況等事業者側の問題点と,運賃負担力等利用者側のそれとを勘案して決定されるしくみになつているものが多い。
  42年度を中心とする国内運賃料金の主な動向としては,まず鉄道の分野で国鉄が43年4月から,平均改訂率37.8%の定期運賃割引率の是正を実施したほか,公営路面電車および中小私鉄の一部において運賃改訂を行なつた。国鉄の運賃値上げは多額の累積赤字をかかえる一方,緊急を要する通勤輸送改善のための資金の一部を確保する必要から行なわれたものである。
  自動車関係については,大都市公営バス等旅客の一部において運賃値上げが行なわれたほか運賃改訂がみられなかつた。バス運賃については,標準運賃制度が43年8月に設定され,これにより運賃改訂の要否の判定,および運賃を算定する場合の基準とするとともに,バス事業者に対し原価管理目標を与えることによつて事業のより能率的な経営に役立たせることとなつた。
  内航海運については,経済活動の活発化と船腹調整の浸透とにより運賃水準は概して強含みに推移し,このため内航海運の経営の教養が進んでいる。


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