3 運賃問題


  国鉄は現在ひつ迫した輸送の現状を打開し,国民経済に占める国鉄の任務を遂行するため,通勤通学輸送の改善,幹線輸送力の増強等を柱とする第3次長期計画を遂行中であるが,最近における国鉄財政事情は上にのべたように極めて憂慮すべき状態にある。このため昭和43年度予算においては国鉄財政再建補助金の交付が行なわれることとなつたほか,財政融資の大巾な増額が行なわれることとなつたが,これとともにいわゆる公共負担として割引率の大きい定期運賃の改定を行なうことにより,利用者にも必要な資金の一部の負担を期待することによつて第3次長期計画の遂行を図ることとし,43年4月から平均改定率37.8%の是正を行なつた。その詳細は次のとおりである。

(1) 2等通勤定期旅客運賃

  1ケ月通勤定期旅客運賃については,現行の5キロ迄の区間と同様,6キロ〜19キロの区間についても割引率を法定限界(50%)まで引き下げを行なうとともに,平均割引率を現行67.6%から52.9%に引き下げた。
  3ケ月通勤定期旅客運賃については,平均割引率を現行69.2%から54.9%に引き下げた。6ケ月通勤定期旅客運賃については,平均割引率を現行71.5%から60.9%に引き下げた。

(2) 通学定期旅客運賃

  通学定期旅客運賃については,前回の運賃改定の際は割引率の引き下げを行なわなかつたが,今回の通勤定期旅客運賃の割引率の改定とのバランスも考慮して,平均割引率を1ケ月通学定期旅客運賃について現行の86.9%から81.1%に,3ヶ月通学定期旅客運賃について現行の87.1%から80.8%に,6ヶ月通学定期旅客運賃については現行の87.3%から82.5%に引き下げた。

(3) 特別措置

  今回の改定による家計負担増を緩和するため,生活保護世帯,母子福祉年金または準栂子福祉年金受領世帯および児童扶養手当受領世帯についでは,その世帯員の2等通勤定期旅客運賃を現行のまま据置き,高校生および養成訓練を受ける職業訓練生については,改定後の通学定期旅客運賃の1割引き,小中学生については,通学定期旅客運賃を現行のまま据置くよう特別措置を講じた。


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