4 土砂等運搬大型自動車の規制


(1) ダンプ規制法施行体制の整備

  ダンプカー(土砂等を運搬する最大積載量5トン以上の大型自動車)による交通事故の防止を図ることを目的として,昨年8月2日にダンプ規制法(土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法)が公布され,本年2月1日からその主要部分が施行された。
  この法律に定められた業務のうち,使用届の受理,表示番号の指定,車両の使用制限禁止処分等主としてダンプカーの使用の規制に関する業務および自重計の技術基準については運輸省の所管になつており,当省としてこれらの業務を実施するために,昭和43年度において102名の増員(定員72名,賃金職員30名)と総額21,931千円の予算をもつて,これら業務の直接の実施機関である各都道府県陸運事務所における業務実施体制の整備を図つた。

(2) ダンプ規制法の実施状況および効果

  本法に基づく届出の受付業務は,本年2月1日から全国一斉に開始されたが,在来車に対する届出および表示番号表示の猶予期間が同年4月30日をもつて終了し,5月1日からは新たに使用されるダンプカーについて自重計の取付けが義務づけられることになつたので,運輸省においてはこれを機会にダンプカーの街頭監査を実施し,義務違反者の指導に万全を期するよう全国に通達するとともに,警察庁に対しては5月中を特に指導期間とされるよう協力を要請し,未届車等の一掃につとめた。
  また,かねてより一部の府県においてはダンプカーの荷台に土砂等の飛散を防止するためシートをかぶせるよう警察等が指導し,あるいは業界が自主的にこれを行なつているが,このため表示番号が見えなくなる事例が多いので,シートにも表示番号を表示させるよう全国に通達するとともに,表示番号の汚損,誤表示等の一掃についてもあらゆる機会を通じ関係機関,団体等に対し指導を行なつてきた。
  在来車に対する自重計の取付け猶予期間が昭和43年7月31日をもつて終了したのに伴い,本法は8月1日から全面実施の運びとなつた。
  2月1日に本法が施行されてから7月末までの6ヵ月間におけるダンプカーの交通事故件数は5,343件で,死者356人,重軽傷者6,543人を出している。これをダンプ規制法のなかつた昨年同期に比較すると件数で8.1%増,死者10.6%減,重軽傷者17.6%増となつている。ちなみに同期間中における全自動車交通事故の対前年増加率は,件数で24%増,死者4%増,重軽傷者28%増でダンプカーの交通事故は明らかに減少してきている。
  また,この期間中に1件のダンプの事故で2人以上の死者を出したのはわずか1件にとどまり,これまで多かつた重大事故も減少の傾向にある。
  しかしながら,ダンプカーの事故率は他の車両に比べてなお高く,昭和42年中のトラック1万台当りの事故件数では,一般トラックの357.4件に対し,ダンプカーは857.0件で約2倍半となつており,死亡事故件数では一般トラックの9.3件に対し,42.0件で実に4倍半という高い事故率を示している。

(3) 今後の対策

  ダンプカーによる交通事故は,ダンプ業界の零細性による過当競争と安全運転管理能力の欠如が大きな原因になつているものと考えられるので,ダンプカーによる交通事故の抜本的な防止を図るためには,これら零細業者を本法第12条の安全団体に加入せしめ,この団体を通じて安全運転管理能力の昂揚とその確保を図るとともに,団体を通じてこれら事業の協業化を図ることによりそり経済的地位を向上させていく必要がある。


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