5 被害者救済制度の充実強化


  自動車事故による損害の賠償の問題に関し,被害者が請求方法にうといため,正当な権利を行使できず不当に低い賠償額で泣寝入りの結果になつたり,訴訟費用に乏しいため低い示談額に応じたり,充分な治療を受けられない等,被害者保護に万全が期せられていないのが実情である。
  そこで42年度より,自動車損害賠償責任再保険特別会計保障勘定の運用利益から自動車事故対策費補助金が自動車事故相談事業,法律扶助事業,自動車事故防止事業,救急医療施設整備事業に対して交付されることになつた。
  法律扶助協会および日弁連交通事故相談センターでは損害賠償に関する知識にかける被害者の相談に応じており,前者は訴訟費用の立替も行なつている。
  また,自動車運転者の適性の有無について検査を行ない,適性を欠くものを業務につかせず,自動車事故を未然に防止するための自動車運行管理センターが東京と大阪に設立された。さらに交通事故による被害者のファーストエイドの重要性をかんがみ18ヵ所の公的医療機関に対する医療機器の整備充足につとめている。
  補助金の額は,42年度159,777,000円であるが,43年度には243,125,000円が交付される予定である。


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