1 南北問題
海運における南北問題は,発展途上国が41年年央の世界海上貿易数量において,積出で63.0%,陸揚で19.2%を占めているにもかかわらず,商船船腹量においては,世界全体の6.8%にとどまり,自国貿易の大部分を先進国商船隊に依存していることから,発展途上国は,運賃その他の運送条件が先進国の鉛会社の支配する海運同盟の手によつて発展途上国に不利益に定められているのではないかという不満を持ち,かつ,自ら商船隊を整備し,海運同盟に加盟し,貿易外収支を向上させて国際収支の改善を図りたいという希望が強いということにある。
この問題は,国連貿易開発会議やエカフェにおいて検討されており,43年2月から3月にかけて開かれた第2回国連貿易開発会議においては,つぎのような問題について討議が行なわれた。
まず,各国政府が海運同盟に対して,発途展上国に有利なように運賃の調整等を行なう可能性を考慮することおよび発展途上国の船会社を同盟に加入させることを要請することが決議された。
つぎに,海運同盟に対して荷主の交渉力を強めるため荷主協議会の設立を促進することが合意された。
また,発展途上国の商船隊拡充のための先進国の援助および自国船優先措置の是認とが発展途上国側から要求されたが,援助内容については先進国が検討して次回の海運委員会に報告することとされ,また優先措置については海運委員会の注意を喚起する旨が決議され,これらの問題の討議は今後に持ち越されている。
また,国際海運立法についても用船契約,海上保険および船荷証券の問題について現行条約の修正または新条約の作成を検討することを決議した。
また,発展途上国の港湾について,先進国ができる限り有利な条件で援助ることが決議された。
発展途上国に対する経済協力としてわが国は,新造船の輸出,中古船の輸出,港湾関係技術者の研修,港湾工事の援助,留学生受入れによる船員養成,造船業に対する資金,技術援助などを行なつている。
国旗差別政策は,自国商船隊を保護する目的で多くの発展途上国および一部の先進諸国においてとられているが,その類型は,@1国の政府の一方的措置によるもの,A2国間協定によるもの,B多数国間協定によるものに分けられ,42年中にも@の例としては韓国およぴブラジルが国内措置をとり,Aの例としてはフランス,アルジニリァ両国が海上輸送協定を締結し,Bの例としてはラフタ水上輸送協定の関係国によりその施行の準備が進められている。
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