2 輸送状況
42年度における内航貨物輸送の実績は, 〔II−(I)−11表〕のとおりであり,国内経済の全般的活溌に支えられて,41年度をはるかに上回る伸びを示した。輸送量(トン数)では,41年度に比べて21%増(41年度は対前年度12%増)の2億4,327万トン,輸送活動量(トンキロ)では,41年度に比べて17%増(41年度は対前年度8%増)の1,036億トンキロとなった。
平均輸送距離は,石油製品,セメント等で長距離化したものの,石炭とその他品目の輸送距離の短縮が響いて,41年度に引き続き14Km減少して426qとなつた。
主要貨物の輸送状況をみると,とくに,石油製品,鉄鋼,砂利等のいわゆる大宗貨物の増加が著しい。すなわち,鉄鋼については,高炉の新設等もあって,42年度の粗鋼生産量が6,379万トンと,41年度に比べて1,189万トン,23%増加し,このため,内航輸送量も900万トン,29%の著しい増加となった。また,石油製品についても,石油製品の消費量が1億1,505万klと41年度に比べて2・019万kl21%増加し,内航輸送量もこのため835万トン,18%の増加を示し丸砂利,砂,石材の輸送量については,建築着工床面積の対前年度伸び率14%をはるかに超える54%の著しい増加をみているが,これは砂利,砂,石材の輸送が道路交通混雑のためトラック輸送から海上輸送へとその比重を移しつつあることによるものと考えられる。この結果,砂利,砂,石材はトン数では主要4品目,トンキロでは主要5品目のなかに入ることとなった。
なお,石炭については,生産量が4,706万トンと41年度に比べて350万トン7%の減少となったが,貯炭の放出により消費量は5,321万トンと同じく95万トンの増加となったため,輸送量についてはむしろかなりの増加をみている。
以上の結果,鉄鋼,石油製品,石炭,砂利,砂,石材およびセメントの主要5品自の合計は,トン数で全体の69%,トンキロで全体の73%を占めることとなった。
輸送状況の推移を船種別にみると, 〔II−(I)−12図〕のとおりであり42年度においては,大型鋼船(500総トン以上)の輸送シェアーが,41年度より若干減少しているのに対し,小型鋼船(500総トン未満)は,トン数で41年度に比べて29%増を記録したように,その伸びが著しく,輸送シェアーを41年度より増加させている。
これは,陸上の貯蔵,保管設備が不足気味であることに対応して,荷主が生産に必要なだけの原材料の輸送を要求する傾向にあることに原因している。
また,木船の輸送シェアーは,42年度も引き続き減少しているが,これは,代替建造政策によつて,木船の解撤が進み,41年10月から42年9月までの1年間に木船船腹量が2,202隻13万3,000総トン減少したことに対応している。
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