6 内航運賃
零細企業の乱立と船腹過剰による過当競争のため,内航運賃は 〔II−(I)−18図〕のとおり,32年以降低迷を続けていたが41年6月に石炭,鉄鋼および重油の3品目および7航路について標準運賃が告示されたのを契機として,内航海運組合法第8条に基づく自主的な調整運賃の設定があいつぎ,43年6月現在483航路3品目について調整運賃が定められている。これらの調整運賃は,標準運賃との間にまだ若干の差があるが,最近の船舶の稼動率の向上および以前のようなダンピング競争の排除と相まつて,内航海運業の経営の改善に役立つている。
すなわち,ここ1年間の調整運賃の動向をみると,市況の好転と船腹調整の浸透とにより概して強含みに推移した。
まず,石炭のうち,北海道炭については,荷主側との運賃改訂交渉の結果,室蘭,京浜間(2,200重量トン以上)の運賃は830円(41年比5円増),ラン条件は積1,800トン,揚1,700トン(いずれも41年比100トン増)で妥結,42年10月から実施されており,また難航した九州炭運賃についても関門/阪神間(2,200重量トン未満)を例にとると,運賃は480円(41年比30円増),ラン条件は積1,600トン(同じく300トン増),揚1,300トン(同じく200トン増)で妥結し,42年10月から実施されている。
つぎに,鉄鋼の運賃については,2,000重量トン以上の船舶で八幡/京浜間1,056円,八幡/阪神間689円(以上いずれも41年比14円増),室蘭/京浜間935円,室蘭/阪神間1,065円,釜石/京浜間855円,釜石/阪神間975円(以上,いずれも41年比5円増),ラン条件は据置となり,42年12月(一部については,10月)から実施されている。
一方,重油については,標準運賃設定航路について,調整運賃の5%レスにまで引き上げられたのみで,その地の運賃については,調整運賃をかなり下回つており,停泊日数条件についてもラン条件は設定されておらず,C.Q.D.(慣習的早荷役)によつているのが実情である。
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