7 内航海運対策の実施状況


  41年5月に閣議決定された内航海運対策要綱に基づく内航対策については,41年末の臨時国会において,特定船舶整備公団法および内航海運業法のそれぞれ一部を改正する法律が成立するとともに実施に移されたが,対策決定後のわが国経済の景気回復に伴う荷動きの活発化に伴なう解撤船の減少もあつて当初計画に比べて縮少して実施された。その概要は,つぎのとおりである。

(1) 近代的経済船の整備と過剰船腹の処理

 (イ) 代替建造3カ年計画

      船船舶整備公団との共有方式により,建造量19万4,000総トン,これに引き当てる解撤および輸出量27万3,000総トンの規模で実施中である。
      その内訳は, 〔II−(I)−20表〕および 〔II−(I)−21表〕のとおりであるが,解撤船および輸出船を船質別にみると隻数で92%,総トン数で53%が木船であり,さらに,船令についても進水後15年以上のものが隻数で76%,総トン数で74%を占めているなど,老朽化した小型の木船が多く解撤されたのに対して,新造船はすべて鋼船であり,また,平均867総トンと大型化しており,今回の3カ年計画によつて,内航海運の合理化,近代化が著しく促進されている。

 (ロ) 共同係船

      日本内航海運組合総連合会の共同係船事業については,船舶整備公団から 係船融資を受けて50隻1万8,454総トン(2万9,915重量トン)の船舶が42年3月15日から同年6月30日までの間に係船を開始し,43年5月31日までの約1年間係船し,船腹需給の改善に貢献した。
      今回係船の対象となつた船舶は,100総トン以上の鋼船(油送船,特殊タンク船およびセメント専用船を除く。)で,耐用年数を経過していない船舶であるが,100総トン〜300総トンの小型船中心で,大部分は瀬戸内海の各地において係船された。

(2) 内航海運企業の適正規模化

  内航海運企業の適正規模化については,内航海運業法の一部改正により,事業の登録制が許可制に改められたが,その許可基準として内航運送業者に対して,一定の支配船腹量の保有を義務づける等の措置がとられた 〔II−(I)−22表〕

  許可制は42年4月1日から新規業者に対して施行されているが,従来から登録を受けて事業を営んでいる者については,44年10月に施行(許可申請時期は同年3月)されることとなつているので,この間に合併,協業化等を進めることとしている。
  これらの指導,周知については,内航海運組合の協力を求めることとし,そのため日本内航海運組合総連合会の行なう経営指導および合併,協業化指導のため,42年度に374万円の補助金が支出され,これにより同連合会では指導用テキストを作成配布するとともに,地区指導員の講習会および各地方における巡回指導を実施した。
  43年度には,建造引当船価格安定事業をも含めた事業について1,077万円の補助金が計上されているので,中国四国,九州および近畿の各ブロックに同連合会の出張所を設置するとともに,専従嘱託員を配置することにより指導の万全を期することとなつている。これとあわせて財政投融資計画では,上記の合併,協業化を促進するため,集約化法人を応募資格とする一般貨物船代替建造資金3億円(小型船約8,000総トン分)が船舶整備公団に確保されている。なお,同公団には石炭専用船代替建造資金4億4,000万円(5,500重量トン型2隻分)が確保されているが,その公募に際しても集約化法人には建造引当船の比率を軽減するなど特別の配慮が行なわれた。


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