1 船員教育養成の現状


  現在の国公立の船員教育機関は,それらの実態からみて,商船の船舶職員養成,漁船の船舶職員養成および部員養成に分類される。
  国公立機関の船員教育養成体系の概略は 〔II−(II)−9図〕のとおりであり,商船の船舶職員の教育養成を行なうものに,商船大学,商船高等専門学校(42年度設立,実態は,商船高校が昇格したもの),商船高校(生徒は41年度以前の入学者のみ)のほか,これらの学生生徒に対し,練習船実習を行なう機関である運輸省航海訓練所があり,さらに既成船員の再教育機関としての海技大学校がある。

  一方,漁船の船舶職員の養成機関としては,水産大学,大学水産学部,水産大学校,水産高校がある。また,船舶通信士の養成は,電気通信大学,電波高校に依存しており,さらに,漁船関係として水産高校無線通信科(18校)がある。
  部員である船員の養成機関としては運輸省所管の海員学校のみであり,従来その卒業者は商船,特に外航船の部員となるのが通例であつたが,42年度清水海員学校に漁船科,43年度粟島海員学校に内航科が設置され,漁船および内航船の部員の教育養成を行なうこととなつた。
  なお,以上のほか,日本船舶職員養成協会等の民間団体が,既成船員の再教育を行なつており,内航船および漁船の船舶職員の養成についてかなりの実績(42年度の海技従事者国家試験合格者中約1万5,000人)をあげている。


表紙へ戻る 次へ進む