2 船員教育の改善
船舶の安全運航には,船舶の近代化,船内労働内容の高度化に伴い,より優秀な船員が必要とされる一方,外航船舶の拡充に伴い,より多くの船舶職員を養成することが必要となつている。このような情勢に即して,船員教育を改善する必要があることは,海技審議会の「船員教育機関における昭和42年度の養成計画について(41年7月16日付答申)および「内航船員および外航部員の教育のあり方」(42年5月24日付答申)にも指摘されている。このため,42年度以降,海技大学校および海員学校の教育について,次のような改善を実施した。
(1) 海技大学校甲二科の定員を42年から80名増員し,380名とした。
(2) 海技大学校講習科について,43年度から実務に則した教育内容に改め,かつ,受講の容易科を図るため,講習期間を約3カ月に短縮し,年3回実施することに改めた。
(3) 海員学校本科(1年制)の高等科(2年制)への切り換えを進めた。(39年度門司,40年度清水,41年度児島,42年度館山,宮古,43年度七尾,粟島の各海員学校を切換え,1年制は唐津,小樽,口之津の3校)
(4) 漁船部員養成を目的とした清水海員学校の漁船科を42年10月に,内航部員養成を目的とした粟島海員学校の内航科を43年4月に開設した。(いずれも3カ月制,80名×年3回)
(5) 船内栄養管理の強化と給食の近代化に即応させるべく清水海員学校の司ちゆう科(3カ月制の補導科)を43年度から本科(1年制)に切換え,その教育の充実をはかつた。
以上に引きつづき次に揚げる改善措置を計画している。
(1) 海員学校のうち,本科の高等科切換えの行なわれていない3校を早急に切換える。
(2) 海員学校高等科の教育内容を甲機別である現運航体制と近代化されるべき今後の運航体制に即応できるように,さらに今後要求される技術水準(ほぼ乙一程度)に適合できるように改善する。これに要する教科書の編さんをいそぎ44年度より実施の予定である。
(3) 海員学校補導科司ちゆう科を順次本科1年制度に切換える。
(4) 外航職員の養成を目的とする海技大学校甲二科への進学者の利便を図るため海技大学校通信教育の教科書ならびに学習書の編さん作業をすすめる。
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