1 定期給与の動き


(1) 商船

  外航船(3,000G/丁以上の船舶)の平均定期給与(「きまつて支給する給与」と「航海日当」の合計額)は,41年平均69,193円から42年平均72,610円に3,417円4.9%上昇した。この伸び率は41年の対前年伸び率19.4%に比べ半減している。
  一方,内航船(3,000G/丁未満の船舶)の定期給与は,41年平均47,688円から42年平均52・277円と4,589円9.6%上昇した。41年平均の対前年上昇率は,6,735円,16.5%であつた。

(2) 漁船

 (イ) 賃金水準

      水産業は遠洋,近海及び沿岸の操業海域によつて,また,同一操業海域でも漁種によつて賃金に差がある。いま各漁種から代表的な周年操業のものを選んで比較したものが 〔II−(II)−12表〕である。

      まず遠洋漁業の賃金水準は,40年に比べ海運業に匹敵する上昇率を示し,とくに,かつお・まぐろ漁業の賃金の伸びが著しい。近海,沿岸の各漁種では賃金上昇率も6〜7%にとどまり比較的安定した推移である。
      次に各漁種間の格差を見ると,遠洋漁業の賃金水準がもつとも高く,近海,沿岸の順になつている。

 (ロ) 賃金構造

      水産業の賃金は,海運業の賃金と異なり生産高にリンクする「歩合制」をとるものが多く,かつ,歩合による賃金配分には複雑な算定方法をとつているため賃金分配率(賃金を水揚高で除したもの)も変動が多い。
      41年における運輸省調査によつて,専業船の賃金体系をみてみると,全歩合制をとるもの54.6%,固定給制をとるもの2.8%,固定給と歩合給の併用制をとるもの42.6%となつている。40年の調査では全歩合制をとるもの58.6%,固定給制をとるもの4.9%,固定給と歩合給の併用制をとるもの36.4%であつたので固定給と歩合給の併用制への移行が目立つている。固定給制は,漁業の賃金体系としてはなじまないためか減少している。
      次に賃金の中に占める歩合給の比率をみると,最低が以西底曳の28.0%,最高がかつお・まぐろの51.7%であるが,かつお・まぐろを除き41年の歩合給の比率は,前年に比べ低下している。


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