2 労働時間
〔II−(II)−15表〕によると,全員平均時間外労働時間は昭和41年9月には外国1区を除き昭和40年に比べ減少したが昭和42年9月には内国及び外国4区のさらに減少したものを除き再び増加に転じ,中には昭和40年9月の時間数をこえた航路もあらわれている。船員のうちもつとも時間外労働の多い一等航海士についてみると,昭和4年9月には前年同期よりも時間数は減少したが,昭和42年9月には再び増加し,中には外国1区のように昭和40年9月の時間数をこえるものもあらわれている。
![]()
昭和41年9月の時間外労働時間の減少という事実あるいは外国4区における減少傾向という事実などからみて定員の減少は,時間外労働時間数の増加には,直ちに結びついてはいない。また全体的にみて,「外国1区」において「全員」「一等航海士」ともに時間外労働が多く,かつ増加の傾向を示し,遠洋航路になるにしたがつて時間外労働は減少する傾向を示している。毎月勤労統計による陸上労働者(男子)の所定外労働時間数は,昭和42年平均で,調査産業全体では31.9時間であり,所定外労働の多いものでは石炭鉱業坑外57.3時間印刷業51.5時間,鉄道車輛製造業労働者51時間,道路貨物運送業50.7時間となつているが,船員の所定労働時間が長い(船員週56時間,陸上48時間)ことを考慮すれば,外国1区の航路などでは時間外労働はかなり多いとみてさしつかえないであろう。一般に船員は海上労働の特殊性から実労働時間を短縮すること,時間外労働をなくすことは困難であるが,入出港時の作業はともかく,荷役中の時間外労働については,ポートリリーフもしくはヘルプ制によつて漸減するようにすべきであろう。
|